本文
HTLV-1感染症について
HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)とは
HTLV-1は、Human T-cell Leukemia Virus type 1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)の略称で、ヒトに感染するレトロウイルスの一つです。同じレトロウイルスでは、エイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)が有名ですが、HTLV-1とHIVは全く別のウイルスです。
近年、人口の大都市圏への移動・集中により、大都市圏でも増加傾向にあります。
HTLV-1を感染しても、必ずしも病気を発症するとは限りません。また、HTLV-1は感染力の弱いウイルスであり感染経路も限られています。正しい知識をもって病気を予防しましょう。
感染経路
HTLV-1の感染は、HTLV-1感染者の血液、母乳、精液などに含まれるウイルスに感染した細胞が生きたままの状態で大量に体内に入り込むことで起こります。
主な感染ルートは母子感染(主に母乳)、性行為による感染、血液感染です。
HTLV-1は感染力が極めて低いウイルスであり、授乳や性行為を除く日常生活では感染しません。くしゃみや咳など飛沫感染や握手、一緒にお風呂に入る、トイレを共有するといったことでも感染しません。ただし、注射器の共有や血液が付着した歯ブラシやカミソリなどの物品の共有は感染の可能性があります。
主な症状
HTLV-1は感染していても特に症状はありません。HTLV-1感染者の約95%は、生涯にわたりHTLV-1感染が原因となって起こる病気を発症せず、感染していない人と同じように生活することができます。
無症状のままHTLV-1というウイルスを持続的に保有している人のことを「HTLV-1キャリア」とよびます。
ただし、HTLV-1キャリアの一部の人は、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、HTLV-1ぶどう膜炎(HU/HAU)などの病気を発症します。
成人T細胞白血病(ATL:エーティーエル)とは
ATLは成人T細胞白血球・リンパ腫(adult T-cell leukemia-lymphoma)の略称で、白血病やリンパ腫の一種です。HTLV-1キャリアのうち、約5%が発症すると言われ、男性にやや多い傾向があります。40歳以下の発症はまれで発症のピークは60歳代後半です。
症状は、足の付け根、首、わきの下のリンパ節のはれ、だるさ、発熱、発疹などがみられます。また、血液中に異様なリンパ球が増加するため、免疫機能が著しく低下し、重症肺炎などの深刻な感染症にかかることもあります。このような症状がある場合は、血液内科の専門医のいる病院を受診してください。受診の際は、自分がキャリアであること、いつから症状があるか、症状の程度はどのくらいかを医師に伝えましょう。
HTLV-1関連脊髄症(HAM:ハム)とは
HAMは、HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-Associated Myelopathy)の略称で国の難病に指定されています。HTLV-1キャリアのうち約0.3%が発症すると言われ、男女比は1対2~3と女性に多く発症します。
原因はまだはっきりわかっていませんが、HTLV-1に感染したTリンパ球が脊髄に入り込み、炎症を引き起こすことが原因と言われています。慢性的な炎症により、脊髄にある神経細胞が傷つけられてしまいます。脊髄には、両足や腰、膀胱、直腸につながる神経が通っていることから、足がつっぱったり、力が入らないなどの運動障害やしびれ感や痛みなどの感覚障害、排尿困難や頻尿などの膀胱機能障害、便秘などの排便障害が現れます。
このような症状がある場合は神経内科の専門医のいる病院を受診してください。受診の際は、自分がキャリアであること、いつから症状があるか、症状の程度はどのくらいかを医師に伝えましょう。
HTLV-1関連ぶどう膜炎(HU/HAU:エイチユー/エイチエーユー)とは
HU/HAUはHTLV-1関連ブドウ膜炎(HTLV-1 Uveitis/HTLV-1-associated Uveitis)の略称で眼のぶどう膜に炎症が起こる病気です。HTLV-1キャリアの約0.1%がHU/HAUを有していると言われています。男女比は1対2と女性に多く発症し、HU/HAUはHAMとの合併がよく見られます。
症状は、飛蚊症(眼の前に虫やゴミが飛んでいるように見える)、霧視(かすんで見える)、眼の充血、視力の低下です。このような症状がある場合は眼科の専門医のいる病院を受診してください。受診の際は、自分がキャリアであること、いつから症状があるか、症状の程度はどのくらいかを医師に伝えましょう。
予防方法
母子感染の予防
HTLV-1に感染しているお母さんから赤ちゃんへの感染は、主に母乳中に含まれるHTLV-1に感染したTリンパ球が原因で起こります。最近では、ごくまれに胎盤からの感染の可能性もあるという研究データが得られています。
HTLV-1に感染しているかどうかは、血液検査を行ってHTLV-1の抗体があるかどうかを調べます。妊娠中(妊娠30週まで)に行われる妊婦健康診査の中に、HTLV-1の抗体検査が組み込まれ、無料で受けられますのでご利用ください。
性交渉による感染の予防
性交渉によるパートナーからの感染は、精液等に含まれるHTLV-1に感染したTリンパ球が主な原因です。特に長期間にわたって性交渉が続く夫婦間での感染が多いと言われています。
性交渉による感染を防ぐにはコンドームの使用が有効です。
血液感染の予防
血液が付着した歯ブラシやかみそりを共用すること、消毒が不十分な器材を使って刺青(いれずみ)を入れたり、ピアスの穴を開けること、同じ注射器を使って違法薬物などの回し打ちをすることは感染の可能性がある危険行為ですので絶対に行わないようにしましょう。
また、輸血による感染については、1986年以降、献血された血液がHTLV-1に感染しているかどうかを検査するようになったため、現在では新たな感染はありません。
HTLV-1に関するリンク集
- HTLV-1情報ポータルサイト ほっとらいぶ(HTLV-1キャリア(HTLV-1陽性またはその疑いがある方)のための医師とのオンライン相談や、HTLV-1キャリア(及び家族やパートナー)と医療従事者のための無料電話相談があります。)
- 【厚生労働省】HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)

